21世紀の日本の在り方、
地球人としての日本人の在り方を、
今こそ、真剣に考える時。
私は15年前、「躾は日本の心、世界の一国としての日本を躾から見直そう」と呼びかけて、「日本の躾を考える会」を発足させ、躾の啓蒙運動を始めました。
現在は「社団法人・日本躾の会」の会長として月刊誌“ふれあい”の発行をはじめ、母親や企業を対象にした躾の研究会や講演会を精力的に続けています。
「躾とは何か」。一言でいうならば、人が生きていくための正しい次勢の大切さをしっかり身につけ教えることではないでしょうか。デジタル思考とアナログ思考が入り交じった現代のように不透明で混沌とした時代だからこそ、時代を超えて一本筋の通った躾が重要になるのです。
社会がどのように変化しようとも、人間が生きるためのモラルやマナー、躾の大切さは永遠です。
「育児は育自」と思いませんか。
「親の躾が先か、子どもの躾が先か、それが問題だ!!」をキャッチフレーズにしておりますが、私は、現代社会においても躾の根幹は家庭教育にあると考えています。「三つ子の塊、百まで」をモットーに、 まず、子どもとの接触の最も多い母親の教育から始めました。例えば「子どもの味覚は七歳までに決まる」ということからも、子どもに正しいことや絶対してはいけないことの教えばかりか、身体のためになる食文化を与えているかということも、母親たちに問いかけてきました。子どもを育てることは、自分自身も子どもと共に成長していくことです。
ですから、私は「育児は育自」とさまざまな場で発言しています。この考え方は、父親参加をすすめ家庭だけではなく、学校でも、企業や社会でも同じことです。
たくさんの生徒を教育することで先生も成長します。社員を育てることで、その指導者も成長し、ひいては企業の信用がついて発展につながるのです。
子どもを社会全体で育てましょう。
少子化時代にストップをかけ2.05人平均にもっていく、うしろだてに二子以上には育児手当を更に引き上げる必要があります。そのうえ、日本人が忘れかけている大切なものの一つに、かつて地域社会が果たしてきた教育の力があります。今日、社会全体で子どもを育てていくという自覚と姿勢が希薄になった結果、親は子どもの教育や躾を学校に押しつけ、学校側も勉強は塾に、躾は他人へと責任をたらい回しにする風潮がでてきました。
最大の被害者は子どもです。子どもたちの叫びを察知できない大人たちは、子どもの悩みに対しても適切で正しい指導ができにくくなっています。
今こそ、家庭、学校、地域が一丸となって、真剣に子どもの教育や躾に取り組むことが必要です。
子どもたちの創造性と自主性を育て、心の正しい個性的な人に導く「躾啓蒙運動」を広げていこうではありませんか。
あなたとともに「躾」を世界の地球語に。
国際社会でみんなの御手伝いをするという気持ちで、そのためには他の国々に自らを理解されるように努力する必要があります。
躾は日本人に限らず、人間が幸せに生きていくための最低限のルールであり、社会秩序であり、倫理であり、マナーです。ゆくゆくは、躾を世界人類に通じる地球語にしたいと、日本躾の会は願い続けているのです。
今、この夢の実現に向かって多くの企業や個人が「躾啓蒙運動」に参加しています。
ぜひ、あなたもご一緒に。21世紀にふさわしい躾を考えていこうではありませんか。
伊藤尚子(いとう なおこ)プロフィール
社会法人 日本躾の会会長兼理事長、総理府青少年問題審議委員。
躾のシンポジウムの総合司会及びパネリスト、TV出演や公演活動のかたわら読売新聞、日本経済新聞などの新聞や雑誌に執筆。政府の政労使ミッションに参加するほか、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、キューバ、中国、韓国、アセアン諸同、中南米、アフリカなど歴訪し、世界に向けて“躾啓蒙活動”を展開中。